猫野詩梨帳

かわいいはかしこい

古典ギリシア語初歩メモ(22 課 〜 26 課)

このメモは練習問題の正答ではないので,必ず↓の記事を先に読むこと.

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22 課

22-1. 私に反対するな.

ἀντιλέξῃς (subj.1aor.sg.2.) ← ἀντιλέγω(反対する).禁止の接続法アオリスト (§114.3).

22-2. それが逃げることをほうっておくのはよそう.

ἐάω 対格 + 不定詞.接続法アオリストだが,1人称(複数)なので提案・要請とした.

22-3. 犬は知らない者たちに吠えかかる(犬は,もしその者たちを知らなければ,その者たちに吠えかかる).

ὧν は関係代名詞の pl.gen. であるが,注にあるように τούτων οὕς として訳した.先行詞である τούτων が省略され,関係代名詞 οὕς が先行詞の格に同化されたものと考えられる(不定関係代名詞のように用いられていると考えても良い).

22-4. 食べよう,飲もう,明日我々は死ぬのだから.

φάγωμεν (subj.2aor.pl.1.) ← ἐσθίω(食べる),πίωμεν (subj.2aor.pl.1.) ← ἔπιον (2aor.) ← πίνω(飲む)

22-5. 愚かなものは,もしあるものがおかしくなければ,笑う.

γελᾷ ← γελάω は subj.pl.3. と ind.pl.3. のどちらかだが(同型なので),ここでは条件文の後文のため直説法であると考えられる (§116).ᾖ (subj.sg.3.) ← εἰμί (§112).

22-6. もし君が彼に金銭を与えて彼を説得するならば,彼は君を賢いとするであろう.

実現可能な未来の仮定 (§116.1).

22-7. 君は出来事(災難,不運)について誰をも非難してはいけない.というのも,運命は共通であり未来は目に見えないからである.

禁止の接続法アオリスト.

22-8. 薔薇は短いあいだ(だけ)盛りである.もし(盛りが)過ぎ去り,(君が薔薇を)探したならば,君は薔薇ではなく茨を発見するだろう.

βαιὸν χρόνον「短いあいだ(だけ)」,期間の対格 (§46.1) .παρέλθῃ (subj.2aor.sg.3.) ← παρέρχομαι(通り過ぎる),例によって変化は ἔρχομαι を参照.εὑρήσεις (fut.sg.2.) ← εὑρίσκω(発見する)より,実現可能な未来の仮定.ζητῶν (part.m.sg.nom.) ← ζητέω(求める,探す)は状況説明の分詞.οὐ...ἀλλά... not...but....

22-9-1. 全ての者(男)が結婚の中で不運であるということは決して無く,また(全ての者が)幸運であるということもない.

οὐ...οὔτε... は否定の強調で,二重否定ではない.練習 13.5 の注を参照.

22-9-2. 悪い妻を手に入れる者は不運であり,良い妻を手に入れる者は幸運である.

τύχῃ (subj.2aor.sg.3.),τυχών (part.2aor.m.sg.nom.) ← ἔτυχον (2aor.) ← τυγχάνω(たまたま……する;[属格]と出くわす,を手に入れる).名詞 τύχη(偶然,運命)と紛らわしいので注意.前半は関係代名詞 ὅς と ἄν,接続法を用いた現在の一般的な仮定「もし彼が悪い妻を手に入れるならば,彼は不運だ」(§116.2, §117).注には ὅς = εἲ τις とあるが,ここは普通に先行詞が省略された関係代名詞として(不定代名詞のように)訳せばよいと思われる.後半は名詞扱いされた分詞 (§100) が主語になった文.

22-10-1. はかない(短命の)ものたちよ.何がある人なのか.何がある人でないのか.

最初の ἐπάμεροι(マクロン省略)は複数呼格と考えられる.

22-10-2. 人は影の夢である.

「人は影の見る夢である」などとも訳されるようだ.

22-10-3. しかし,ゼウスから贈られた光輝が来るときはいつでも,輝く光は男たち(人々)の上にあり,そして平穏な人生も(上にある).

ἔλθῃ (subj.2aor.sg.3.) ← ἔρχομαι(来る,行く),前文が ὅταν = ὅτε ἄν によって導かれる現在の一般的な仮定 (§116.2, §117).訳は「……のときはいつでも……である」とした.ἔπεστιν (sg.3.) ← ἔπειμι,この動詞の活用は εἰμί を参照 (§54).

23 課

23-1. 君が幸運だったらなあ.

23-2. キューロスが生きていればなあ.

注にあるように,ὤφελε (2aor.sg.3.) ← ὤφελον (2aor.) (← ὀφείλω) と不定詞を用いた実現不可能の願望.ζῆν (inf. この動詞は特別の母音融合を行う;練習 14 の単語リスト参照) ← ζάω(生きる).

23-3. 手紙を送らなければよかったなあ.

23-2 の注にあるように,εἱ γὰρ + 直説法アオリスト で過去の実現不可能の願望を表す.ἔπεμψα (1aor.sg.1.) ← πέμπω(送る).

23-4. 罰せられないように,不正者たちは逃げた.

ἔφυγον (2aor.pl.3.) ← φεύγω(逃げる).δοῖεν (opt.2aor.pl.3.) ← δίδωμι(与える)(§118.6).ὡς による目的表現 (§123).

23-5. おお,不運な者よ.君が決して,君が誰なのかということを知ることがなければよいのだが.

δύσποτμ' は単数呼格 δύσποτμε であると考えられる.ὅς は関係代名詞だが,ここでは疑問代名詞として用いられていると思われる (§64.3).γνοίης (opt.2aor.sg.2.) ← γιγνώσκω(知る)の変化については §187 を参照.

23-6. いかにしてある人は小さい苦労で大きいものをつかまえられるのだろうか.

ἕλοι (opt.2aor.sg.3.) ← εἷλον (2aor.) ← αἱρέω(取る,つかまえる),ἄν を伴った可能性の希求法.与格は手段の与格 (§14.3).

23-7. 君が最も楽しく時をすごせるように,わざと君を鼓舞しなかったのだ.

ἤγειρον (impf.sg.2.) ← ἐγείρω(目を覚まさせる,鼓舞する).διάγῃς (subj.sg.2.) ← διάγω(時を過ごす,暮らす).接続詞による目的表現で,主文の動詞が副時称の場合従属文は希求法だが,接続法のこともある (§123).ἥδιστα は ἡδύς(甘い)から作られた副詞の最上級 (§72).

23-8. もし君の召し使いたちのある人が病めば,君は彼が死なないように医者たちを呼び寄せるか?

ἀποθάνῃ (subj.2aor.sg.3.) ← ἀποθνῄσκω(死ぬ).接続法を用いた現在の一般的な仮定 (§116.2) と,接続詞 ὅπως を用いた目的表現 (§123).注にあるように,σοι はここではほぼ σου の意味らしい.よって τίς σοι (= σου) τῶν οἰκετῶν「君の召し使いたちの(中の)ある人」.不定代名詞 τὶς は前接辞,σοί も前接辞なので,τὶς が σοί からアクセントをもらっている (§50.5).

23-9. へーラクレイトスはどこかで言っている,すべてのものは進み,とどまるものは何もないということを,そして存在するものたちを川の流れになぞらえることによって言っている,君は二度同じ川の中へ踏み入れることはできないということを.

ὄντα (part.n.pl.acc.) ← εἰμί (§97),ここでは定冠詞がついているため名詞扱いされた分詞と考え,「存在するものたち」と訳した (§100).ὡς はおそらくここでは単に間接話法を導く「……ということ」であり,ἄν を伴って可能性を表す接続法であると思われる (§121.2).αὐτὸν は限定的位置に置かれているため,「同じ」の意 (§67.2).

23-10-1. 君が常に私を見るために私が鏡であったらなあ,君が常に私を身にまとえるように私が肌着になれればなあ.

εἴην (opt.sg.1.) ← εἰμί (§119).γενοίμην については注を参照.実現可能な(?)願望を表す希求法と,目的表現の接続法.ἀεὶ は ἀ にマクロンを付け忘れていると考えられる.詩文なので意図的の可能性も?

23-10-2. 君の肌を洗うために,私は水になりたい.

肌において君を洗うために,私は水になることを欲する.注を参照.λούσω (subj.1aor.sg.1.) (← λούω 洗う) は ind.fut.sg.1. と同形.23-10-3 で呼格が使われていることから考えると,ὕδωρ は呼格かもしれない.

23-10-3. 香油よ,女よ,私が(それらに)なれればなあ,私が君に塗るために.

γύναι (f.sg.voc.) ← γυνή(女,妻),この名詞は少し特殊な変化をする(練習 9 の単語リストを参照).μύρον も呼格であると考えられる.ἀλείψω (subj.1aor.sg.1.) ← ἀλείφω(塗る)は ind.fut.sg.1. と同形.

24 課

24-1. 彼が私を見るときはいつでも,私は逃げていた.

前文が関係副詞 ὁπότε によって導かれた過去の一般的な仮定 (§124.2, §125).ἴδοι (opt.2aor.sg.3.) ← εἶδον (2aor.) ← ὁράω(見る).

24-2. 彼は,彼(自身)にとって良いと思われることを(いつも)行っていた.

ἃ は関係代名詞だが,先行詞が省略されて不定関係代名詞のように用いられていると考えられる (練習 22-3 の注を参照).前文が関係代名詞によって導かれた過去の一般的な仮定 (§124.2, §125).δόξειεν (opt.1aor.sg.3.) ← δοκέω(思われる,よいと思われる,決議する),この動詞の動詞幹は δοκ だが,現在幹をつくる際には ε が付加される(Ciesko 7§59.31).

24-3. 彼は,何を言えばいいのか困ったので沈黙した.

λέγῃ (subj.sg.3.) は思案・熟慮の接続法 (§114.2) であると考えられる.もとの直接話法では1人称であったのが,間接話法で3人称に変わっている.主文の動詞 ἐσίγᾱ (impf.sg.3.)(マクロン省略) ← σῑγάω(沈黙する) は副時称であるが,接続法は(希求法に変えてもよいが)そのままでよい (§128.2).

例)ἔφη,“τί λέγω.”「“私は何を言えばいいのだろう.”と彼は言った.」(λέγω: subj.sg.1.)

ἔφη τί λέγῃ.「何を言えばいいのだろうと彼は言った.」(λέγῃ: subj.sg.3.)

24-4. 誰がそんなことを言っているんだろうねと彼は戯言を言っているんだよ,と彼は言った.

ὅστις は疑問代名詞として用いられていると考えられる (§64.3, §129).希求法現在形になっている φλυᾱροίη, λέγοι はもとの直接話法では直説法現在形か接続法現在形である.

24-5. あの者の後で,第二の者を,誰であるかを見たかとクロイソスは尋ねた.

ἠρώτᾱ (impf.sg.3.) ← ἐρωτάω(尋ねる).ἴδοι (opt.2aor.sg.3.) ← εἶδον (2aor.) ← ὁράω(見る).

24-6. もし私が恩人を追い出すようなことがあれば,彼は私を褒めないだろう.

24-7. もし君が友人を持つようなことがあれば,私は君が幸福であるということを認めるだろう.

νομίζω (opt.sg.1.) 対格 + 不定詞

24-8. 唯一クレアルコスのみが,支配者が考えねばならぬような事々を考えているということを,彼らは見ている.

δεῖ 対格 + 不定詞で,不定詞 (φρονεῖν) が省略されていると考えられる.また関係代名詞 οἷα の先行詞も省略されている.μόνος が「ただ……のみ」のように使われているのは練習 19-3 と同様.

24-9. (一方)他の人間たちは食べるために生きているが,(他方)自分は生きるために食べているのだ,とソクラテスは言った.

例によって ζῆν (inf.) ← ζάω(生きる)は特別の母音融合を行う(練習 14 の単語リスト参照),ただし ζῇ はここでは subj.sg.3.(ζάω は能動相直説法と能動相接続法が全て同形).いつもの ἔφη 対格 + 不定詞 の構文だが,αὐτὸς は対格ではなく主格になっていることに注意.これは,不定詞の主語と主動詞の主語が等しいために不定詞の主語が表されていないことによる.このとき,補語は全て主文の主語と同じく主格になる (Ciesko 8§12).

例)

οὗτος σοφός ἐστιν.「こいつは賢い.」:補語 σοφός は 主語 οὗτος に格が一致し,主格

ἔφη τοῦτον σοφὸν εἶναι.「こいつは賢いんだと彼は言った.」:不定詞の主語の補語 σοφὸν は不定詞の主語 τοῦτον に格が一致し,対格

ἔφη σοφὸς εἶναι.「俺は賢いんだと彼は言った.」:補語 σοφὸς は主文の主語と同じ,主格

ἔφη αὐτὸς σοφὸς εἶναι.「俺は賢いんだと彼は言った.」:補語 αὐτὸς と σοφὸς は主文の主語と同じ,主格

24-10. ダーレイオスが死にアルタクセルクセースが王になった時,ティッサペルネースは,兄弟に向かって陰謀を企てているとしてキューロスを中傷する(した).

κατέστη (2aor.sg.3.) は καθίστημι(据える,……の状態にする)の第二アオリストで「……になる,……に落ち着く」という意味であるが, ここでは κατέστη εἰς τὴν βασιλείᾱν で「王国の中へ落ち着いた」→「王になった」くらいの意味であると考えられる.また,歴史的現在は副時称と見做されるため ἐπιβουλεύοι が希求法になっている (Ciesko 8§67).

25 課

25-1. 全てのことは時間によって裁かれる.

25-2. 私は常に多くのことを教わりながら(教わることによって)老いる.

διδασκόμενος (mp.part.m.sg.nom.) ← διδάσκω(教える)

25-3. 彼らは,彼ら自身がそれらのことを被るのではないかと恐れた.

未来のことがらに対する危惧・恐怖 (§139).πάθοιεν (opt.2aor.pl.3.) ← ἔπαθον (2aor.) ← πάσχω(被る,経験する).

25-4. というのも,青春は夢のように君を通り越してしまうからである.

παρέρχεται (mp.sg.3.) ← παρέρχομαι(通り過ぎる,経過する,到着する)は ἔρχομαι と同様に中・受動相で用いる(現在形の場合).

25-5. 彼らは,案内人が,そこから出てこれないだろう場所へ連れて行くことを恐れている.

ἔσται (fut.sg.3.) ← εἰμί(……である,存在する,可能である),εἰμί + 不定詞 で「〜できる」.ἐξελτεῖν (2aor.inf.) ← ἐξῆλθον (2aor.) ← ἐξέρχομαι(出て来る,出て行く),この動詞の変化は ἔρχομαι を参照.ἀγάγῃ (subj.2aor.sg.3.) ← ἤγαγον (2aor.) ← ἄγω(導く,連れて行く).ὅθεν は「そこから」とあるが,先行詞(場所)が省略された関係副詞「そこから……であるような場所」として用いられている(英語の whence).

例)ὑποστρέψω εἰς τὸν οἶκόν μου ὅθεν ἐξῆλθον.「私は,私が出てきた私の家(私がそこから出てきた場所であるところの私の家)へ帰る.」(ὑποστρέψω 引き返す,方向転換する)(ルカによる福音書 11 章 14 節)

25-6. (一方)立法者は法を制定するが,(他方)民衆は彼ら自身のために法をつくる.

τίθεται (mp.sg.3.) ← τίθημι(置く,つくる,制定する,……にする)を受動と考えると対格の νόμους がよくわからないので,中動と考えた.

25-7. おお客人よ,我々はあの者たちの言葉に従ってここに横たわっているということをスパルタ人に告げよ.

ἀγγέλλειν (inf.) は注にあるように命令を表している.πειθόμενοι (mp.part.m.pl.nom. [与格]に従う) ← πείθω(説得する).

25-8-1. まさに人生を終えようとしている,そして子どもたちに畑仕事の経験があることを欲している農夫が,彼ら(子どもたち)を呼び寄せて言った:「おお子どもたちよ,ぶどう畑の中に宝が隠されている.」

βουλόμενος (mp.part.m.sg.nom) ← βούλομαι(欲する;能動相欠如動詞) 対格 + 不定詞 (εἶναι) の構文.προσκαλέσᾱς (1aor.part.m.sg.nom.) ← προσκαλέω(呼び寄せる),この動詞の変化は καλέω を参照.

25-8-2. そして父の死んだ後,子どもたちは鍬を取ってぶどう畑のすべての大地を掘り返した.

λαβόντες (2aor.part.m.pl.nom.) ← λαμβάνω(取る,つかまえる).κατέσκαψν (1aor.pl.3.) ← κατασκάπτω(掘り返す).最初の οἱ は子どもたち (οἱ παῖδες) を指していると思われる.

25-8-3. しかし一方彼らは宝を発見することはなかったが,他方ぶどう畑は,彼らがよく掘ったために,多くの収穫を彼らに返した.

εὗρον (2aor.pl.3.) ← εὑρίσκω(発見する).σκαψάντων (1aor.part.m.pl.gen.) ← σκάπτω(掘る),独立的用法の分詞 (§108.1).ἀπέδωκεν (2aor.sg.3.) ← ἀποδίδωμι(返す),変化は δίδωμι を参照.

25-8-4. この話は,人にとって苦労は宝であるということを明らかにしている.

26 課

26-1. 徳はそれ自身に従って立派である.

26-2. みじめな私,私は死んでしまった(も同然),私はもはや何でもない.

ἀπωλόμην (mid.2aor.sg.1.) ← ἀπόλλῡμι

26-3. おまえたちが自由の価値がある男たちであるよう,よく考えよ.

注にあるように,σκοπεῖτε (imp.pl.2) ← σκοπέω(よく見る,熟考する).ἔσεσθε (mid.fut.pl.2.) ← εἰμί,未来形は中道相である (§138).配慮・努力を表す文(§144).

26-4. アテーナイ人が攻撃すると,シュラークーサイ人は退き,(アテーナイ人が)退くと,(シュラークーサイ人は)追撃していた.

過去の一般的な仮定 (§124.2).ἐπίοιεν (opt.pl.3.) ← ἔπειμι(やって来る,向かっていく,攻撃する;ἐπί + εἶμι),この動詞の変化は εἶμι を参照.同形の ἔπειμι(……の上にある;ἐπί + εἰμί)に注意,こちらの変化は εἰμί を参照.ὑπεχώρουν impf.pl.3.,ἀναχωροῖεν opt.pl.3.,ἐπέκειντο (mp.)impf.pl.3.

26-5. 母親は父親(が我が子を愛する)より一層我が子を愛する.というのも,一方母親は(子供が)自身の子であると知っているが,他方父親はそう考えるからである.

母親は自分で子を産むため自分の子であるということを知っているが,父親は自分が産むわけではないため自分の子だろうと考えるだけである(しかできない)ということ.

形容詞を比較級・最上級にする代わりに,原級に副詞 μᾶλλον (more), μάλιστα (most) を添えることでも比較級・最上級が作れる (Ciesko 3§26).πατρός は比較の属格 (§73.2).ἡ, ὁ はそれぞれ母親と父親のことを指していると考えられる.ὄνθ' ← ὄντα (part.m.acc.) は εἰμί の現在分詞 (§97) で,οἶδεν ((2perf.)sg.3.) ← οἶδα(知っている)があるので分詞を用いた間接話法 (§110.3) である.οἶδεν [τὸν παῖδα] [τὸν αὑτῆς παῖδα] ὄντα.「彼女は知っている,[その子供]が[彼女自身の子供]であるということを.」

26-6. インド人たちが入ってきて,インド人たちの王が,戦争は何の中からあるのか尋ねることを命じて彼ら(インド人たち)を送ったということを言った.

εἰσελθόντες (2aor.part.m.pl.nom.) ← εἰσέρχομαι(入ってくる),この動詞の変化は ἔρχομαι を参照;また λείπω と同様にアクセントが -όντες となる (§96).ἔλεξαν (1aor.pl.3.) ← λέγω(言う).πέμψειε (opt.1aor.sg.3.) ← πέμπω(送る).ἐρωτᾶν (inf.) ← ἐρωτάω(尋ねる).εἴη (opt.sg.3.) ← εἰμί (§119).ὅτου (n.sg.gen.) は不定関係代名詞であるが,ここでは疑問代名詞として用いられていると考えられる (§64.3);ἐξ ὅτου (from what).希求法は間接話法の主文の動詞が副時称であるため使われていると考えられる.

26-7-1. しかし彼らは,正しくそしてよく熟慮して,名誉や栄光のために自身を恐ろしい事々に与えることを欲していた.

ἤθελον (impf.pl.3.) ← ἐθέλω(欲する).διδόναι (inf.) ← δίδωμι(与える).βουλευόμενοι (mp.part.m.pl.nom.) ← βουλεύω(相談する,計画する,[中]熟慮する).εὐδοξίᾱ と τιμή は共に「名誉」となっているが,多少ニュアンスが異なるのであろう;ここでは「名誉と栄光」と訳した.

26-7-2. というのも,たとえ小部屋の中である人が自分自身を閉じ込めて見張っていたとしても,すべての人間の人生の終わりは(結局)死であるからである.

καθείρξᾱς (1aor.part.m.sg.nom.) ← καθεῖρξα (1aor.) ← καθείργνῡμι(閉じ込める;κατά-εἵργνυμι),この動詞は δείκνῡμι (§94) と同じように変化する,即ち第1アオリストでは -νῡ- が落ちる.τηρῇ (subj.sg.3.) ← τηρέω(見張る,警戒する),現在の一般的な仮定 (§116.2).

26-7-3. しかし,立派な男は(一方)常に全ての立派なことに手を出さなければならない,(他方)立派な希望を前面に押しだして(盾として),神の与えるどんなことにも気高く耐えねばならない.

δεῖ(+ 対格)+ 不定詞 の構文,不定詞は ἐγχειρεῖν と φέρειν.διδῷ (subj.sg.3.) ← δίδωμι(与える),不定関係代名詞 ὅ τι と ἄν を伴って,現在の一般的な仮定 (§116.2, §117) だが,無理に「もし〜」と訳さなくてもよいだろう.

古典ギリシア語初歩メモ(17 課 〜 21 課)

↓の続き.このメモは練習問題の正答ではないので,必ず↓の記事を先に読むこと.

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17 課

17-1. あらゆる大地は著名な男たちの墓である.

17-2. 大きい都市は大きい荒野である.

17-3. あらゆるそれら(人々?)が黒い武器を持っていた.

εἶχον は ἔχω の impf.pl.3.

17-4. 恐ろしいものは多いが,人間より恐ろしいものは何もない.

17-5. 哀れな母親達が速い船の中にとどまるだろう.

μενοῦσιν は例によって μένω(とどまる,待つ)の fut.pl.3. (§81)

17-6. 腹の快楽は,あらゆるよいことの始めであり,そして根である.

定冠詞のついている ἡ ... ἡδονή が主語であると考えられる.

17-7. 当時,9人のアルコーンたちが政治事の多くのことを行っていた.

17-8. 文献学者カリマコスは,大きい本は大きい悪に等しいと言っていた.

[ἔλεγεν] (← λέγω) [τὸ μὲγα βιβλίον](対格) [εἶναι](不定詞)〜.ἴσος:(与格)に等しい

17-9. 人は各々の仕事において一方ではより劣っており,他方ではより優れている:人々の誰自身も全てに於いて賢くはない.

注にあるように ἔργον ἕκαστον, ἅπαντα はいずれも限定の対格(〜において)(§58).αὐτὸς をどう訳すかよくわからなかったが,属格 ἀνθρώπων が οὐδεὶς を修飾していることを表すためにあるのかもしれない.

17-10. というのも,主は六日間のうちに,天と大地と海と,それらの中のすべてのものをつくり,そして第七の日の間は休息したからである:それ故に,主は第七の日を祝福し,それを神聖なものとした.

πάντα τὰ ἐν αὐτοῖς は τὰ が名詞「もの」として用いられていると考え (練習3の注4),「それらの中の全てのもの(を)」とした.このように前置詞節が定冠詞によって「〜もの」と名詞化されることがよくあるらしい(例:τὰ ἐν τῇ νήσῳ 島の中にあるもの).κατέπαυσε は καταπαύω(やめさせる,終わらせる)の 1aor.sg.3 (κατα-έ-παυσε)(§35) で,注にあるようにここでは「休息した」の意.ἡμέρᾳ(マクロン省略)は期間の対格 (§46.1).

18 課

18-1. 恩人には感謝を返さねばならない.

18-2. 不運は人々をより賢くさせる.

σωφρονεστέρους は σώφρων の比較級の (m.?) pl.acc. である.語幹が -ον, -οο で終わるような形容詞など(-ων, -ον 型形容詞など → §75.3)は -εστερος, -εστατος のような語尾の比較級・最上級になるらしい.例:εὐδαίμων(語幹 εὐδαίμον-) → εὐδαιμονέστερος, εὐδαιμονέστατος

18-3. 我々は保証を与えることととることを欲している.

λαβεῖν (2aor.inf.) ← λαμβάνω

18-4. ソクラテスは履物なしで長い時間立った.

18-5. 父なるゼウスは,パトロクロスに一方をば与え,他方をば拒んだ.

注を参照すること.

18-6. アテーナイ人たちには,その場所で立って戦争をすることが良いと思われた.

δοκέω [与格] [不定詞]:〜には……と思われる,……が良いと思われる(非人称構文)

18-7. なぜ橋のそばで見張りたちを立ち上がらせなかったのか.

τί には「なぜ」の意味もあるので注意.ἀνεστήσατε (1aor.pl.2.) ← ἀνίστημι (ἀνα-ἵστημι)

18-8. 当時,ミーレートスを除いて,イオーニア地方の諸都市はキューロス側になびいた.

18-9. 私の考えでは,親しい男を裏切らない者は誰でも,人々の中でも神々の中でも大きな名誉を持つ.

ἔν τε ← ἐν τέ (§48.2, §50.6)

18-10-1. ある詩人は言う.神々は,動物たちを作った時,ある贈り物を各々に分配した.

διένειμαν (1aor.pl.3.; §35, §38.3) ← διανέμω

18-10-2. 雄牛たちには角を与えた.

18-10-3. 馬たちには蹄を,鳥たちには翼を,そして他の者たちには(それぞれ)そのようなとある他のものを(与えた).

18-10-4. 人間たちにはそのようなものを何も与えなかったが,男たちには男らしさを,女たちには美しさを与えた.

18-10-5. それ故に,女は全てのものの中で最も強い.

「〜の中で最も」の属格 (cf. 練習 13-9)

18-10-6. というのも,男たちは男らしさによって全てのものを征服するが,女たちは美しさによって男たちを征服するからである.

手段の与格(……で,……によって §14.3).νῑκῶσι (νῑκάουσι) ← νῑκάω(勝つ,征服する)

それ故に〜,というのも〜 (δὶα τοῦτο/ταῦτα...γάρ/ὅτι...) 構文は練習 15-10 でも出てきた.

19 課

19-1. 我々はただちに家へ立ち去る.

ἐπί + 属格 は「〜の上に」「〜の時に」などであるが,注にあるようにここでは ἐπ' οἴκου: 家へ.ἄπιμεν (pl.1.) ← ἄπειμι(立ち去る ἀπο-ειμι)

19-2. 君は魚を放たねばならぬ.

19-3. 唯一,時間(のみ)が正しい男を示す.

μόνος は χρόνος を修飾している.英語でも,形容詞 alone が名詞を修飾して「ただ〜のみが……」という(副詞のような)意味になることがあるので,それと同じようなものだと考えられる.Time alone reveals the just man.

19-4. 君はチーズを革袋の中へしまった.

ἀπέθηκας (2aor.sg.2.) ← ἀποτίθημι(片付ける,しまう)

19-5. 彼は若者たちに知恵の愛を鼓吹していた.

ἐνετίθει (impf.sg.3.) ← ἐντίθημι(中に入れる,鼓吹する)

19-6. すべての牛たちは川の中へ行っていた.

ᾖσαν (impf.pl.3.) ← εἶμι (§93)

19-7. ゆえに彼は手の中から剣を地面に落とした.

ἧκε (2aor.sg.3.) ← ἵημι (放つ,投げる,落とす §92)

19-8. よいものの中から悪いものをつくることは,悪いものの中からよいものをつくることより容易である.

θεῖναι (2aor.inf.) ← τίθημι (置く,つくる,制定する,……にする §92)

19-9. 父ピリッポスはここで 12 歳の子供を埋葬した.多くの希望ニーコテレースを(埋葬した).

πατὴρ = Φίλιππος, τὴν πολλὴν ἐλπίδα = Νῑκοτέλην. 注にあるように,ἀπέθηκε (2aor.sg.3.) ← ἀποτίθημι はここでは「埋葬した」の意.

19-10-1. クセルクセースがギリシアへ進軍していた時,スパルタ人はテルモピュライの中で入り口を見張っていた.

19-10-2. 戦いの前に,味方のある人が言った.「夷狄たちが矢を射かけるときはいつでも,その大量の矢が原因で太陽を隠してしまう.それほど多くのそれらの数が存在する.」

注にあるように,ἀφιῶσι は ἀφίημι の接続法 (subjunctive) 能動相現在3人称複数形で,ここでは現在の一般的な仮定「もし〜ならば……である」を表す (§116.2).ここでは ἐπήν を伴って,「〜のときはいつでも……である」と訳すことができる.

19-10-3. そしてディエーネケースという名のスパルタ人が言った.「おお,異邦人よ.君は我々にあらゆるよいことを告げる.というのも,もしメーディアー人たちが影の下に太陽を隠すならば,戦いは太陽の中ではないだろうからである.」

ὀνόματι は限定の与格と考え,「名前に於いてディエーネケースである」→「ディエーネケースという名の」と訳した.ἔσται (fut.sg.3. §138) ← εἰμί

原文によると,この「異邦人」=「味方のある人」はトラキス人(Τρηχίνιος, Τραχίνιος, Τραχίς)となっているようである.敵の夷狄(ペルシア人=メーディアー人)ではない.「戦いは太陽の中(下)ではない」とは,つまり日陰で戦えるということだが,「敵(ペルシア人)の撃ってくる矢が多い? いや結構結構,涼しい日陰で戦えるではないか」みたいな感じ?

20 課

20-1. 死から逃げている人々は,(死を)追っている.

限定詞としての分詞(§100)と考えた.φεύγω [対格(危険など)]から逃げる.

20-2. 心を一つにすることによって,我々は強くいられるであろう.

手段の分詞 (§101.4).μενοῦμεν は例によって μένω(とどまる,待つ)の fut.pl.1. (§81).ここでは形容詞 ἰσχῡροί(強い,激しい)を補語として「強いままでいる(だろう)」と訳した.

20-3. 学んだことを信頼せねばならない.

μαθοῦσιν (2aor.part.n.pl.dat.) ← μανθάνω(学ぶ;第二アオリスト ἔμαθον).分詞が名詞扱いされており (§100),「学んだこと」.アオリスト分詞なので「学ぶ」ではなく「学んだ」と過去形に訳した (§102).また,πιστεύω が与格をとることに注意.

20-4. 愛するものたちの怒りは少しの間(だけ)力がある.

φιλούντων は名詞扱いされた分詞 (§100).ὀλίγον χρόνον は期間の対格で,「少しの間(だけ)」(§46.1).

20-5. というのも,多くの生まれのよいものたちは悪い(下劣だ)からである.

分詞 ὄντες (§97) が名詞扱いされ,「〜であるものたち」.

20-6. 妻を娶らない男は悪いものを持たない.

20-7. キュプリス(アプロディーテー)はクニドスの中のキュプリス(の彫像)を見た時に言った,「ああ,ああ,プラークシテレースはどこで裸の私を見たのか.」

Κύπρις は単数主格がアクセントのない -ις に終わる子音幹名詞なので,単数対格が Κύπριν となる(§57.2).εἶπεν (2aor.sg.3.) ← λέγω(言う).ἰδοῦσα (2aor.part.f.sg.nom.) ← ἰδών (2aor.part.n.sg.nom.) ← εἶδον (2aor.sg.1.) ← ὁράω(見る)

20-8. 人間はあらゆるものの尺度である.存在する者たちの(尺度)は,存在するということであり,存在しない者たちの(尺度)は,存在しないということである.

ὄντων が複数属格であるため,名詞の属格「存在する者たちの」として χρημάτων と同じように μέτρον を修飾している(省略されている)と考え,このような訳にしてみた.一般には「人間は万物の尺度である.あるものについてはあるということの,あらぬものについてはあらぬということの.」などと訳されるようである.前半を引用する者は多いが,後半についてはみな良くわかっていないのか引用しない.私もよくわからないので,誰か解説してください.

20-9. ソークラテースは若者たちを堕落させ,都市の信じている神々ではなく他の新しい神霊たちを信じているので,不正を働いている(悪いことをしている)のだ,と彼は言う.

φησίν(← φημί)対格 + 不定詞 の構文 (§41).彼は,ソークラテース(対格)が不正を働いている(不定詞)と言っている.ちなみに,ここで「彼」とは,ソクラテスを告発した詩人のメレトス.διαφθείροντα, νομίζοντα は理由の分詞とした.これらの分詞の主語にあたる部分は Σωκράτη (m.sg.acc.) なので,分詞も性数格を一致させて m.sg.acc. となっている.θεοὺς οὓς ἡ πόλις νομίζει「都市の信じている神々」(οὓς は関係代名詞の m.pl.acc.).οὐ νομίζοντα, δὲ ... とあるので,この「都市の信じている神々」を信じずに,……を信じている,と訳した(最後に νομίζοντα が省略されていると考えてもよい).

20-10. 生きることは悪だと言った人に向かって,犬儒派ディオゲネースは言った,「生きること(が悪であるの)ではない,」「悪く生きること(が悪なの)だ.」

εἰπόντα (2aor.part.m.sg.acc.), εἶπεν (2aor.sg.3.) ← λέγω(言う).ここで εἰπόντα は名詞扱いされたアオリスト分詞で,「(〜と)言った人」と訳した.その人が言ったことの中身は対格+不定詞構文で κακὸν εἶναι τὸ ζῆν「生きることは悪である」.ζῆν (inf. この動詞は特別の母音融合を行う;練習14の単語リスト参照) ← ζάω(生きる).中性なのでわかりにくいが τὸ ζῆν も κακὸν も対格であると考えられる.

21 課

21-1. 私は,人は死すべきだ(死を免れない)ということを知っている.

分詞を用いた間接話法.注にあるように,οἶδα (2perf.sg.1.) は「(私は)知っている」.この動詞には現在形がなく,(第二)完了形が現在の意味で用いられる (§166).

21-2. もしぶどう酒がもはや存在しないのならば,キュプリス(アプロディーテー)は存在しない.

分詞 ὄντος (← εἰμί) の主語 οἴνου(ぶどう酒)は主文「キュプリスは存在しない」に現れていないため,独立的用法の分詞(属格)である.

原文はこの後ろに οὐδ᾽ ἄλλο τερπνὸν οὐδὲν ἀνθρώποις ἔτι「そして人々にとって他の楽しいものはもはや決して(存在しない)」と続く(τερπνὸν ← τερπνός 楽しい;οὐδ᾽...οὐδὲν は二重否定ではなく否定の強調,cf. 練習 13-5 の注).よって,ここの「キュプリス」とは愛や肉欲(の楽しみ)を示しているのかもしれない.

21-3. 彼はその時確かに,他のあらゆる者たちに知られずに涙を流していた.

λανθάνω [対格]に知られずに[分詞]する(§110.2 例文の2つめ)

21-4. スパルタ人の多くの軍隊がたまたまコリントス地峡まで進出したわけではなかった.

ここでは「少数の軍隊が(たまたま)進出した」という意味にとってよいと思われる.ἔτυχε (2aor.sg.3.) ← τυγχάνω (§110.2)

21-5. 彼らは,(ペリクレースが)彼らを(自分たちを)戦争するよう説得したという理由でペリクレースを責めていた.

ἐν αἰτίᾳ ἔχω(責める;マクロン省略),εἶχον (impf.sg.1., pl.3.) ← ἔχω.説得したのはペリクレースなので,πείσαντα (1aor.part.m.sg.acc.) (← πείθω 説得する) は Περικλέᾱ (m.sg.acc.) と性数格が一致している.σφᾶς は三人称代名詞の pl.acc. で「彼らを」だが,アッティカ方言の散文では三人称代名詞は間接再帰の場合のほかはあまり用いられない (§83.2).即ち間接再帰代名詞として用いられる.間接再帰代名詞はそれが用いられている文の主語と同じものを指す (§142.2) ため,ここでは文の主語の「(ペリクレースを責めていた)彼ら」=「(ペリクレースに説得された)彼ら」である.わかりやすくするために「彼らを」を「自分たちを」と訳しても良い.

21-6. 神が与えるならば,嫉妬は何の力をも持たず,与えないならば,苦労は何の力(価値)をも持たない.

独立的用法の分詞の属格 (§108.1)

21-7. (アキレウスは)後世の記憶の中へ(残る)ホメーロスの伝令を手に入れていたため,アレクサンドロス大王アキレウスを幸福であると考えた.

ἔτυχε (2aor.sg.3.) ← τυγχάνω [属格]と出くわす,手に入れる.アキレウスホメーロスの叙情詩「イーリアス」(主人公はアキレウス)によってその活躍が後世に残されているということ?

21-8. 多くの者たちが戦争の中で仲間や家の者を助けて傷を負って死に,そして健康な,助けなかった者たちは,(そう)せねばならなかったけれども,立ち去ったのか?

ἔλαβον (2aor.pl.3.) ← λαμβάνω(取る),ここでは(傷を)負う,という意味であると考えられる.ἀπέθανον (2aor.pl.3.) ← ἀποθνῄσκω(死ぬ).ἀπῆλθον (2aor.pl.3.) ← ἀπέρχομαι(立ち去る;変化は ἔρχομαι を参照).1つめの βοηθήσαντες (1aor.part.m.pl.nom.) は状況説明の分詞,2つめは名詞扱いされた分詞「(仲間や家のものを)助けなかった者たち」と考えた.δέον は注にあるように非人称動詞の δεῖ(ねばならぬ)の現在分詞である.δεῖ は普通不定詞をとるため,「立ち去らねばならぬ」とは考えにくいが,よくわからない.

21-9. キオス人と他の同盟者たちは,それらのことと,リューサンドロスを艦隊(の指揮者)に要求するということを(使節が)言うため,ラケダイモーンに使節を送った.

ἔπεμψαν (1aor.pl.3.) ← πέμπω(送る).ἐροῦντας (part.m.pl.acc.) ← ἐρέω(言う,の未来).ここでは目的を表す未来分詞 (§101.6) で,「言う」のは πρέσβεις (m.pl.acc. 使節) なので性数格がそれに一致している.言う内容は ταῦτα(n.pl.acc.) 「それらのこと」と,αἰτήσοντας (part.m.pl.acc. ← αἰτέω)「要求すること」(§110.3).要求している主語,すなわち「誰が」要求しているのかというと使節であり,リューサンドロスではない.これは分詞が m.pl.acc. で πρέσβεις (m.pl.acc.) と性数格が一致していることからわかる.よって,リューサンドロスを艦隊の指揮者として求めているということになる(注も参照).

21-10. ゼウスとアポローンは弓術について争っていた.アポローンが弓矢を張って放った時,ゼウスはアポローンが弓で射った(その距離)ほど大きいぶんを1跨ぎで歩いた.

ἤριζον (impf.pl.3.) ← ἐρίζω(争う).τόξον (n. 弓;何故か語彙集にない?).ἀφέντος (2aor.part.m.sg.gen.) ← ἀφίημι(放つ),この変化については ἵημι の第二アオリスト分詞 εἵς, εἷσα, ἕν の変化を参照 (§106, §105).διέβη は注にあるように διαβαίνω(渡る)の 2aor.pl.3.,この動詞は μι 動詞型の変化をする第二アオリストを持つ (§187).

古典ギリシア語初歩メモ

最近,水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店,1990) をテキストとして古典ギリシア語について勉強している.この本には練習問題がついているが,解答がない.

インターネットで検索すると解答を作成しているブログなどがあるのだが,11 課までしか公開されていないようだ.そこで,同じく古典ギリシア語を勉強している者たちのために,12 課以降の「私の」解答をここにメモしておこうと思う.

ここに記すのは模範解答ではないことに注意されたい.私の古典ギリシア語力はたったの5である.しかし,12 課まで絶望せず*1学んできた者たちならば,この「初学者の解答の発表」の扱いについて,ここで詳しく説明せずともわかるであろう.明らかな間違いなどあれば(あると思うので)指摘してもらえると助かる.

なおここに記すのは主に日本語訳(のみ)である.格や文の構造をどう解釈したかわかりやすいよう,なるべく「直訳」している(気がする).個人的にわかりにくかった部分については,「どう読んだか」を注釈としてつけている.

環境によってはマクロン(長音記号)と共に気息記号やアクセントがついた文字を表示できない可能性があるため,マクロンと共に気息記号やアクセントがつく場合はマクロンを省略し,その旨記す.

index

略語

略語 意味
m. masculīnum 男性
f. fēminīnum 女性
n. neutrum 中性
sg. singulāris 単数
du. duālis 双数,両数
pl. plūrālis 複数
nom. nōminātīvus 主格
gen. genitīvus, genetīvus 属格
dat. datīvus 与格
acc. accūsātīvus 対格
voc. vocātīvus 呼格
pr. praesēns 現在
fut. futūrum 未来
1fut. I. futūrum (受動相)第1未来
2fut. II. futūrum (受動相)第2未来
impf. imperfectum 未完了過去
1aor. I. aoristum 第1アオリスト
2aor. II. aoristum 第2アオリスト
perf. perfectum 完了
1perf. I. perfectum 第1完了
2perf. II. perfectum 第2完了
plup. plūsquamperfectum 過去完了
1plup. I. plūsquamperfectum 第1過去完了
2plup. II. plūsquamperfectum 第2過去完了
fut.perf. futūrum perfectum 未来完了
ind. indicātīvus 直説法
subj. subiunctīvus 接続法
opt. optātīvus 希求法
imp. imperātīvus 命令法
inf. īnfīnītīvus 不定詞
part. participium 分詞
act. āctīvum 能動相
mid. medium 中動相
pass. passīvum 受動相
mp. medium / passīvum 中・受動相
Ciesko Martin CIESKO『古典ギリシア語文典』(白水社,2016)

12 課

12-1. 友人とは何か? 他の私(自身)である.

τί (n) は「何」,τίς (m, f) は「誰」

12-2. 他のものは他の人々を喜ばす.

ἀρέσκω は与格をとる.コメントで指摘のあるとおり,中性複数の主語は単数の動詞で受けるのが普通(第3課練習問題注釈 8).ἄλλα は中性なので物,ἄλλος は男性なので人(者).

12-3. あるものはそれを言い,あるものはそれを行った.

12-4. アポローンは彼に,どの神々に犠牲をささげねばならぬのか答えた.

αὐτῷ は3人称代名詞の与格として用いられている.また οἷς はここでは疑問代名詞として用いられていると考えられる(θεοῖς οἷς: どの神々に)(§64.3).ἔδει は未完了過去だが,開始されようとしている動作または状態を述べているものと考えられる (§40).

12-5. 同じ原因の中から常に同じ結果が生じるということはない.

ταὐτά = τὰ αὐτά

12-6. この若者たちは,あの女を信用することを欲しない(信用したがらない).

コメントで指摘のあるとおり,οἱ νέοι は「若者たち」であると考えられる.

12-7. それらの後,詩人自身があの奴隷に,竪琴を彼女の家の中へ運ぶことを命じた.

κελεύω :[対格(もしくは与)] に [不定詞] することを命じる

12-8. 我々の各々(の人)には,賢いところに於いて良く,無学であるところに於いて悪い.

限定の対格 (§58).ταῦτα(それに於いて)… ἅπερ(のところ) σοφός((我々の各々の人が)賢い) -> (我々の各々の人が)賢いところに於いては. 主語は「我々の各々の人」(Each of us) であり,「人」が省略されているか,ἕκαστος が代名詞的に使われているかのどちらかだと考えられる.

12-9. 親自身の子どもたちには,しばしば,(親と)同じ性格はない.

所有の与格 (§55)

12-10-1. ドラコーンは,いつかのアテーナイ市の市民であって,アテーナイ人たちが,彼が新しい法を書くことを欲していたほどに,賢く正しかった.

ἤθελον は ἐθέλω(欲する)の未完了過去.不定詞 γράφειν(書く)の主語は αὐτὸν(不定詞の主語は対格 → §41)

12-10-2. しかし彼が書いた法は耐え難いものであった.

関係代名詞 οὓς は,性数は先行詞 οἱ νόμοι に一致し,格は ἔγραψεν (γράφω の 1aor.sg.3.) の要求する対格となる (§65)

12-10-3. というのも,あの法の中には1つの罰(として),死があったからである.

12-10-4. ゆえにアテーナイ人達は,ドラコーンの法は人のものではなく竜(ドラゴン)のものだと言っていた.

13 課

13-1. 恋(愛)より甘いものはない.

οὐδὲν (n) はより甘い (n),恋(m, 属格 → §73.2)より.οὐδὲίς, οὐδὲμία, οὐδὲν(m f 誰も……ない,n 何も……ない)

13-2. ピンダロスは,水は最良であると言う.

ピンダロス says that…

13-3. しかし技術は必然よりずっと弱い.

§74 で ὀλίῳ(← ὀλίγος 少ない)が「わずかだけ」の意で用いられていることから考えると,μακρῷ (← μακρός 長い) は「かなり,ずっと,たいそう」くらいの意味であると思われる.

13-4. 犬は男たちに対して最も親しい.

13-5. そして財産が友人より美しいということも決してない.

注にあるように,οὐκ…οὐδὲν は単に否定を強めているだけ.

13-6. 父親より母親の方が 10 年(歳)若いと彼は言っていた.

ἔφη 対格 不定詞 (§41)

13-7. 我々は,自分の(過失)より,他人の過失を,より容易に目の中に持つ.

ῥᾷον は副詞の比較級であると考えられる (§72)

13-8. 都市は,できるだけ最も速く,最も良く,最も美しい国制をとることによって,最も幸福に時をすごすだろう.

τάχιστα(最も速く), ἄριστα(最もよく), εὐδαιμονέστατα(最も幸福に) はすべて副詞の最上級と考えられる.ὡς は最上級とともに「できるだけ……」.λαβοῦσα は注にあるように λαμβάνω(取る)の第2アオリスト分詞であり,ここでは手段「……することによって」と解釈した (§101.4).

13-9. アポローン神託デルポイの中にあった:ソポクレースは賢く,さらにエウリーピデースはより賢く,さらにソークラテースは全ての男たちの中で最も賢い.

属格には「〜のうちの,〜の中の」という用法があり(部分の属格),最上級と共にも使われる (Ciesko 9§3.2).

13-10-1. プロメーテウスは最初に確かに人間たちを,そして野獣たちを作った.

13-10-2. 次に,(人間より)より多くの野獣たちが存在することを見たため,あるものたちを人間たち(の中)へ変えた.

ὁρῶν は注にあるように「見る」の現在分詞であり,ここでは理由「……なので」と解釈した (§101.2).分詞の時間は文脈によって判断されるとある (§102) ので,ここでは「変えた」ことより「見る」ことが前であると考えた(大過去的な;日本語では単に「見たため」となるが).ἤλλαξε は ἀλλάττω, -ξω(変える,交換する)の 1aor.sg.3.

13-10-3. そしてそれゆえに,(一方)人間(たち)の身体を持つが,(他方)野獣(たち)の魂を持つものたちがいまだ存在している.

διὰ δὲ τοῦτο ἔτι εἰσὶν(そしてそれゆえに,いまだ「それら」が存在している)οἳ(関係代名詞:「それら」とはどういうものか)…

14 課

14-1. 時間は明らかでないことを明らかにする.

14-2. 一羽の燕が春を作るわけではない.

正しい「古代ギリシアの諺*2

14-3. 神々が愛する者は若くして死ぬ.

注にあるとおり,関係代名詞 ὅν の先行詞が省略されている.

14-4. というのも彼は最良であると思われること(を欲しているの)ではなく,最良であることを欲しているからである.

οὐ…ἀλλά… (not…but…)(第4課練習問題注釈 8)

14-5. ローマ人たちはシケリアーをローマの蔵と呼んでいた.

καλέω A B(A を B と呼ぶ)ではおそらく A も B も対格をとる.

14-6. ネストールの舌から,言葉がちょうど蜜のように流れ出ていた.

ἀπορρέω(流れ出る)の未完了過去 (sg.1.) は ἀπέρρεον (ἀπο-ε-ρρέω)(§34.1, §35), 3人称で ἀπέρρει (ἀπέρρε-ε)

14-7. よい友人が一人でさえもない者は,生きる価値がない.

全文の主語は不定関係代名詞 ὅτῳ(……する者は誰でも),所有の与格 (§55).

e.g. αὐτῷ εἷς φίλος ἔστιν. 彼には1人の友人がいる.

14-8. 不正を働くこととは,他の者達よりより多く持つことを求めることである.

注にあるように,τοῦτό = τὸ 以下.τῶν ἄλλων(他の者達より)は比較の属格 (§73.2).τὸ ζητεῖν ἔχειν 持つことを求めること ← ζητεῖ ἔχειν 彼は持つことを求める(対格(省略)+不定詞の構文と考えた)の不定詞を名詞化.また πλέον(← πολύς)は ἔχειν にかかる副詞と考えた.

14-9. 人間たちにとって,どんな危険が,冬の(嵐の)季節に海を船で行くことより大きいか.

τί であれば「〜より大きい危険は何か」となると考えられるが,τίς なので,形容詞的に τίς κίνδῡνος(どの危険が)とした.

14-10-1. あるアテーナイ人がいつかペリクレースに尋ねた,「おお,ペリクレースよ,」

τὶς は形容詞的に「ある〜が」としても用いられる (§53).ἠρώτησε は ἐρωτάω(尋ねる;[対格] に尋ねる)の 1aor.sg.3. (§34.2, §38.2)

14-10-2. 彼は言った,「支配者が心の中に持たねばならぬ第一のものは何か?」

δεῖ + 対格 (τὸν ἄρχοντα) + 不定詞 (ἔχειν):支配者は持たねばならぬ → ὃ δεῖ τὸν ἄρχοντα ἔχειν 支配者が持たねばならないところのもの(ὃ は関係代名詞 n.sg.acc.)

14-10-3. そして(ペリクレースが)言った,「人間であることだ.」

自分は人間以上の存在などではなく人間であるのだという心構え?

14-10-4. 「それでは第二のものは何か?」

14-10-5. 「よく,そして正しく支配しなければならぬということだ.」

14-10-6. そして最後にその男は言った,「第三のものは何か?」

14-10-7. そしてペリクレースは言った,「常に(彼が)支配するだろうということはないということだ.」

15 課

15-1. 私はアルパでありオメガ,始めであり終わりである.

ἄλφα (n. アルパ), Ὦ μέγα (n. オメガ)

15-2. おおソクラテスよ,君より賢いものは誰もいない.

比較の属格 (§73.2).

15-3. (一方)それは私を喜ばし,(他方)あれは君を喜ばす.

15-4. というのも我々の心(理性)は各々の中で神であるからである.

15-5. 我々にとって涙は苦痛や悪いものの薬である.

κακῶν は中性名詞の複数属格として扱われていると考えられる(いろいろの悪いものの).すると形容詞ではなく名詞の属格なので性・数・格を一致させる必要がない.

15-6. 私は君にそれを与える,君は私の母を尊重しているから.

15-7. 誰が君たちとともにあの国の中にとどまるだろうか.

μενοῦσιν は μένω(とどまる)の fut.pl.3. (μεν-έσ-ουσιν,§81).もし現在形ならば μένουσιν となる.融合未来は現在形と同じ形,似た形になることがあるので注意したい.また,注にあるように μεθ' ὑμῶν ← μετὰ ὑμῶν(マクロン省略)

15-8. 私に向けた君の手紙は何と長かったことか.

二番目の ἡ が何を表しているのか不明.

15-9. 君たちは,君たちの父たちから取った徳を投げ捨てるだろうか.

ἐλάβετε は λαμβάνω(取る)の 2aor.pl.2.(付録 E 参照).ところで,疑問の小辞 ἆρα(……か?)などが無くとも文末に疑問符 (;) があれば疑問文であるようだ(古くはそもそも疑問符や句読点などを使用していなかったのだが).

15-10-1. 敵共を征服したある兵士たちがラッパ手を捕まえた.

ἔλαβoν は λαμβάνω(取る)の 2aor.pl.3.(付録 E 参照).

15-10-2. そして彼らがまさに彼(ラッパ手)を殺そうとしていた時に彼が言った,「おお,男たちよ,」

15-10-3. 「私を殺すな.というのも私は君たちの誰をも殺していないからである.あなたがたは私がそのラッパ以外に何の道具(武器)も持っていないことを見ている.」

注にあるように,μή と接続法アオリストで禁止を表す (§114.3).οὐδέν は形容詞的に使われていると考えられる:οὐδὲν ὅπλον(何の道具をも……ない).ὁρᾶτε は命令法ともとれるかもしれない(私がラッパ以外に何の道具も持っていないことを見よ)(§178).

15-10-4. しかし彼らは彼(ラッパ手)に向かって言った,「それ故に,君は死ぬのが正しい.というのも,(一方)君自身は戦争をしていないが,(他方)君は他の者達を戦いへと鼓舞しているからである.」

ἀποθανεῖν は ἀποθνῄσκω(死ぬ)の第二アオリスト ἀπέθανον の不定詞不定詞では加音をとらないため ἀπο- であることに注意)(§44).第二アオリスト不定詞は一回的行為を表す(死ぬのは一回なので)(練習6の注8を参照).

16 課

16-1. 経験のないものたちにとって戦争は甘い.

16-2. その場所に甘い水の泉がある.

16-3. 彼は彼にそれらが真実であるかどうか尋ねる.

ἐρωτάω: [対格] に尋ねる

16-4. というのも好機は人々から(すると)短い尺度を持つからである.

16-5. 真実から偽りのものたちを分けることはしばしば困難である.

注にあるように,分離の属格.

16-6. 詩人ヘーシオドスは,険しい道を徳の道と呼んだ.

最初の Ἡσίοδος は ὁ ποιητὴς と同格であると考えられる.次の τρᾱχεῖαν は f.acc. なので,ὁδόν が省略されている,即ち ἐκάλει [τὴν τρᾱχεῖαν ὁδόν] [τὴς ἀρετῆς τὴν ὁδόν]([険しい道]を[徳の道]と呼んだ) と考えた.καλέω A(対格) B(対格): A を B と呼ぶ

16-7. 教育は(一方)幸運な者達にとっては飾りであるが,(他方)不幸な者達にとっては避難所である.

16-8. (一方)自然は学問なしには盲目にとどまるが,(他方)学問は自然なしには不完全にとどまる.

16-9. 足は速いが,風はより速く,心は最も速い.

…μέν…δέ…δέ は …μέν…δέ(一方は……他方は……)の3者版だと考えられる.θάττους(マクロン省略)は ταχύς(速い)の比較級の m.pl.nom の別形であることに注意(§75.1)

16-10. 人生は短く,技術は長く,好機は速く,試みは倒れやすく,判断は困難である.

*1:http://shindanmaker.com/401316 昔3回くらい出席して諦めた

*2:テキトウなことを言ったあとに(古代ギリシアの諺)などとつけるのがツイッターで流行った(いつ?)

古典ギリシア語の入力 ἐπ’ Ubuntu

Ubuntu で古典ギリシア語を入力するためのメモとか.

環境:Ubuntu 16.04, Fcitx

インプットメソッドとかについて

インプットメソッドとかについてよくわかってなかったのでこの機に少し調べた.

インプットメソッド (IM) は Windows における IME みたいなものらしい (Microsoft IME, ATOK, SKK, Mozc, Simeji とか).

IM を管理したりインターフェイスを提供している(入力と IM の間に立ってよきに計らう)のがインプットメソッドフレームワーク (IMF).

Ubuntu だと以前はデフォルトで iBus(アイバス)という IMF を使用していたが,16.04 からはデフォルトで Fcitx(ファイティクス)という IMF になったらしい.

ということで Fcitx の設定からインプットメソッドについていろいろ設定する.今回はただギリシア語キーボードを追加するだけでよい.

Fcitx の設定(入力メソッドの設定)を開くには Dash から Fcitx で検索すればよい.もしくはインジケーター(右上)にあるアイコンからも設定が開ける.

f:id:CyLomw:20161211101200j:plain

ギリシア語キーボードの追加

入力メソッドの設定から左下の + を押して“キーボード - ギリシャ語”を探し追加する.このとき“現在の言語のみ表示”のチェックを外さないと現れないので注意.

入力メソッドの切り替え

こんな感じでギリシア語キーボードに切り替えればギリシア文字が入力できる.

f:id:CyLomw:20161211102127j:plain

キーボードから入力メソッドを切り替えたい場合は,以下から入力メソッドの切換キーについて設定できる.

Fcitx の設定(入力メソッドの設定) -> “全体の設定”タブ -> 入力メソッドの切替

デフォルトはたぶん Ctrl+Shift なので,Ctrl+Shift で入力メソッドの切り替えができる

AltGr キー

古典ギリシア語の表記においては,現代ギリシア語(デモティキ)では用いられないアクセント記号や気息記号がよく用いられる.

ギリシア語キーボードからこれらの記号を入力するためには AltGr キー(オルタネートグラフィックキー)が必要らしい.

キーボードに AltGr キーがなかったり,もしくは無効化されている場合があるので,それを有効にして適当なキーに割り当てる必要がある.

まず システム設定 -> キーボード -> “ショートカット”タブ -> タイピング を開く.

f:id:CyLomw:20161211103231j:plain

そのなかに“代替文字キー”という項目がある.これが AltGr キーに相当するようなので,これに適当なキーを割り当てる.

私のノート PC のキーボードには AltGr も右 Alt もなかったのでとりあえず Menu に割り当てた.

以降この割り当てたキーを AltGr と表記する.

記号の入力

ギリシア語キーボードにおいて次のようにすると各種記号が入力できる.ここで ; : @ [ は一般的なキーボードでそれが書いてあるキーである(キーボードについて詳しくないのでこう書いてごまかしておく).

ただし以下の表は私が実際に試してみて見つけた入力方法なので,環境によっては異なるかもしれないし,他の入力方法もあるかもしれないということに注意されたい.

記号 入力方法(この後に文字を入力)
鋭アクセント (´) ;
重アクセント (`) AltGr+:
曲アクセント (~) AltGr+@
分離記号 (¨) Shift+;
分離記号 + 鋭アクセント Shift+; ; もしくは ; Shift+;
有気記号 (ʽ) AltGr+Shift+:
無気記号 (') AltGr+Shift+;
アクセント + 気息記号 アクセントの後に気息記号を入力
長音記号 (¯) AltGr+Shift+@
短音記号 (˘) AltGr+Shift+[
下付きのイオタ (ͺ) AltGr+[

一部記号は“入力方法”を二回繰り返すと記号自体を入力する.

また,長音 / 短音記号とアクセントや気息記号を組み合わせるのは難しいようである*1

感想

めんどくせーふざけるな考えただけで入力できるようになれ.

ローマ字をかなに変換したい(願望)(Python)

ローマ字をかなに変換したいと思った.

綴りの確認

ここを参考にした.

https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/883232

RomanKanaTable ジェネレーター

よくわからないけどジェネレーターにした.コピーのオーバーヘッドがない気がする.検索するときは頭から検索するしかないので効率が良いかはふめい.辞書でもいいかなと思ったけどかなからローマ字を検索シたい時もあるかなと思った.

from enum import Enum, IntEnum

class SpecialHiraType(Enum):
    Ignore = 0
    Kata = 1
    Special = 2

class TableIndex(IntEnum):
    Roman = 0
    Hira = 1
    Kata = 2

class RomanKanaTable(object):
    common = (
        ('a', 'あ', 'ア'),
        ('i', 'い', 'イ'),
        ('u', 'う', 'ウ'),
        ('e', 'え', 'エ'),
        ('o', 'お', 'オ'),
        ('wha', 'うぁ', 'ウァ'),
        ('whi', 'うぃ', 'ウィ'),
        ('whu', 'う', 'ウ'),
        ('whe', 'うぇ', 'ウェ'),
        ('who', 'うぉ', 'ウォ'),
        ('la', 'ぁ', 'ァ'),
        ('li', 'ぃ', 'ィ'),
        ('lu', 'ぅ', 'ゥ'),
        ('le', 'ぇ', 'ェ'),
        ('lo', 'ぉ', 'ォ'),
        ('xa', 'ぁ', 'ァ'),
        ('xi', 'ぃ', 'ィ'),
        ('xu', 'ぅ', 'ゥ'),
        ('xe', 'ぇ', 'ェ'),
        ('xo', 'ぉ', 'ォ'),
        ('ka', 'か', 'カ'),
        ('ki', 'き', 'キ'),
        ('ku', 'く', 'ク'),
        ('ke', 'け', 'ケ'),
        ('ko', 'こ', 'コ'),
        ('kya', 'きゃ', 'キャ'),
        ('kyi', 'きぃ', 'キィ'),
        ('kyu', 'きゅ', 'キュ'),
        ('kye', 'きぇ', 'キェ'),
        ('kyo', 'きょ', 'キョ'),
        ('kwa', 'くぁ', 'クァ'),
        ('ca', 'か', 'カ'),
        ('ci', 'し', 'シ'),
        ('cu', 'く', 'ク'),
        ('ce', 'せ', 'セ'),
        ('co', 'こ', 'コ'),
        ('qa', 'くぁ', 'クァ'),
        ('qi', 'くぃ', 'クィ'),
        ('qu', 'く', 'ク'),
        ('qe', 'くぇ', 'クェ'),
        ('qo', 'くぉ', 'クォ'),
        ('qya', 'くゃ', 'クャ'),
        ('qyi', 'くぃ', 'クィ'),
        ('qyu', 'くゅ', 'クュ'),
        ('qye', 'くぇ', 'クェ'),
        ('qyo', 'くょ', 'クョ'),
        ('qwa', 'くぁ', 'クァ'),
        ('qwi', 'くぃ', 'クィ'),
        ('qwu', 'くぅ', 'クゥ'),
        ('qwe', 'くぇ', 'クェ'),
        ('qwo', 'くぉ', 'クォ'),
        ('ga', 'が', 'ガ'),
        ('gi', 'ぎ', 'ギ'),
        ('gu', 'ぐ', 'グ'),
        ('ge', 'げ', 'ゲ'),
        ('go', 'こ', 'ゴ'),
        ('gya', 'ぎゃ', 'ギャ'),
        ('gyi', 'ぎぃ', 'ギィ'),
        ('gyu', 'ぎゅ', 'ギュ'),
        ('gye', 'ぎぇ', 'ギェ'),
        ('gyo', 'ぎょ', 'ギョ'),
        ('gwa', 'ぐぁ', 'グァ'),
        ('gwi', 'ぐぃ', 'グィ'),
        ('gwu', 'ぐぅ', 'グゥ'),
        ('gwe', 'ぐぇ', 'グェ'),
        ('gwo', 'ぐぉ', 'グォ'),
        ('sa', 'さ', 'サ'),
        ('si', 'し', 'シ'),
        ('su', 'す', 'ス'),
        ('se', 'せ', 'セ'),
        ('so', 'そ', 'ソ'),
        ('sya', 'しゃ', 'シャ'),
        ('syi', 'しぃ', 'シィ'),
        ('syu', 'しゅ', 'シュ'),
        ('sye', 'しぇ', 'シェ'),
        ('syo', 'しょ', 'ショ'),
        ('sha', 'しゃ', 'シャ'),
        ('shi', 'し', 'シ'),
        ('shu', 'しゅ', 'シュ'),
        ('she', 'しぇ', 'シェ'),
        ('sho', 'しょ', 'ショ'),
        ('swa', 'すぁ', 'スァ'),
        ('swi', 'すぃ', 'スィ'),
        ('swu', 'すぅ', 'スゥ'),
        ('swe', 'すぇ', 'スェ'),
        ('swo', 'すぉ', 'スォ'),
        ('za', 'ざ', 'ザ'),
        ('zi', 'じ', 'ジ'),
        ('zu', 'ず', 'ズ'),
        ('ze', 'ぜ', 'ゼ'),
        ('zo', 'ぞ', 'ゾ'),
        ('zya', 'じゃ', 'ジャ'),
        ('zyi', 'じぃ', 'ジィ'),
        ('zyu', 'じゅ', 'ジュ'),
        ('zye', 'じぇ', 'ジェ'),
        ('zyo', 'じょ', 'ジョ'),
        ('ja', 'じゃ', 'ジャ'),
        ('ji', 'じ', 'ジ'),
        ('ju', 'じゅ', 'ジュ'),
        ('je', 'じぇ', 'ジェ'),
        ('jo', 'じょ', 'ジョ'),
        ('jya', 'じゃ', 'ジャ'),
        ('jyi', 'じぃ', 'ジィ'),
        ('jyu', 'じゅ', 'ジュ'),
        ('jye', 'じぇ', 'ジェ'),
        ('jyo', 'じょ', 'ジョ'),
        ('ta', 'た', 'タ'),
        ('ti', 'ち', 'チ'),
        ('tu', 'つ', 'ツ'),
        ('te', 'て', 'テ'),
        ('to', 'と', 'ト'),
        ('tya', 'ちゃ', 'チャ'),
        ('tyi', 'ちぃ', 'チィ'),
        ('tyu', 'ちゅ', 'チュ'),
        ('tye', 'ちぇ', 'チェ'),
        ('tyo', 'ちょ', 'チョ'),
        ('cha', 'ちゃ', 'チャ'),
        ('chi', 'ち', 'チ'),
        ('chu', 'ちゅ', 'チュ'),
        ('che', 'ちぇ', 'チェ'),
        ('cho', 'ちょ', 'チョ'),
        ('cya', 'ちゃ', 'チャ'),
        ('cyi', 'ちぃ', 'チィ'),
        ('cyu', 'ちゅ', 'チュ'),
        ('cye', 'ちぇ', 'チェ'),
        ('cyo', 'ちょ', 'チョ'),
        ('tsa', 'つぁ', 'ツァ'),
        ('tsi', 'つぃ', 'ツィ'),
        ('tsu', 'つ', 'ツ'),
        ('tse', 'つぇ', 'ツェ'),
        ('tso', 'つぉ', 'ツォ'),
        ('tha', 'てゃ', 'テャ'),
        ('thi', 'てぃ', 'ティ'),
        ('thu', 'てゅ', 'テュ'),
        ('the', 'てぇ', 'テェ'),
        ('tho', 'てょ', 'テョ'),
        ('twa', 'とぁ', 'トァ'),
        ('twi', 'とぃ', 'トィ'),
        ('twu', 'とぅ', 'トゥ'),
        ('twe', 'とぇ', 'トェ'),
        ('two', 'とぉ', 'トォ'),
        ('da', 'だ', 'ダ'),
        ('di', 'ぢ', 'ヂ'),
        ('du', 'づ', 'ヅ'),
        ('de', 'で', 'デ'),
        ('do', 'ど', 'ド'),
        ('dya', 'ぢゃ', 'ヂャ'),
        ('dyi', 'ぢぃ', 'ヂィ'),
        ('dyu', 'ぢゅ', 'ヂュ'),
        ('dye', 'ぢぇ', 'ヂェ'),
        ('dyo', 'ぢょ', 'ヂョ'),
        ('dha', 'でゃ', 'デャ'),
        ('dhi', 'でぃ', 'ディ'),
        ('dhu', 'でゅ', 'デュ'),
        ('dhe', 'でぇ', 'デェ'),
        ('dho', 'でょ', 'デョ'),
        ('dwa', 'どぁ', 'ドァ'),
        ('dwi', 'どぃ', 'ドィ'),
        ('dwu', 'どぅ', 'ドゥ'),
        ('dwe', 'どぇ', 'ドェ'),
        ('dwo', 'どぉ', 'ドォ'),
        ('ltu', 'っ', 'ッ'),
        ('xtu', 'っ', 'ッ'),
        ('ltsu', 'っ', 'ッ'),
        ('na', 'な', 'ナ'),
        ('ni', 'に', 'ニ'),
        ('nu', 'ぬ', 'ヌ'),
        ('ne', 'ね', 'ネ'),
        ('no', 'の', 'ノ'),
        ('nya', 'にゃ', 'ニャ'),
        ('nyi', 'にぃ', 'ニィ'),
        ('nyu', 'にゅ', 'ニュ'),
        ('nye', 'にぇ', 'ニェ'),
        ('nyo', 'にょ', 'ニョ'),
        ('ha', 'は', 'ハ'),
        ('hi', 'ひ', 'ヒ'),
        ('hu', 'ふ', 'フ'),
        ('he', 'へ', 'ヘ'),
        ('ho', 'ほ', 'ホ'),
        ('hya', 'ひゃ', 'ヒャ'),
        ('hyi', 'ひぃ', 'ヒィ'),
        ('hyu', 'ひゅ', 'ヒュ'),
        ('hye', 'ひぇ', 'ヒェ'),
        ('hyo', 'ひょ', 'ヒョ'),
        ('fa', 'ふぁ', 'ファ'),
        ('fi', 'ふぃ', 'フィ'),
        ('fu', 'ふ', 'フ'),
        ('fe', 'ふぇ', 'フェ'),
        ('fo', 'ふぉ', 'フォ'),
        ('fwa', 'ふぁ', 'ファ'),
        ('fwi', 'ふぃ', 'フィ'),
        ('fwu', 'ふぅ', 'フゥ'),
        ('fwe', 'ふぇ', 'フェ'),
        ('fwo', 'ふぉ', 'フォ'),
        ('fya', 'ふゃ', 'フャ'),
        ('fyi', 'ふぃ', 'フィ'),
        ('fyu', 'ふゅ', 'フュ'),
        ('fye', 'ふぇ', 'フェ'),
        ('fyo', 'ふょ', 'フョ'),
        ('ba', 'ば', 'バ'),
        ('bi', 'び', 'ビ'),
        ('bu', 'ぶ', 'ブ'),
        ('be', 'べ', 'ベ'),
        ('bo', 'ぼ', 'ボ'),
        ('bya', 'びゃ', 'ビャ'),
        ('byi', 'びぃ', 'ビィ'),
        ('byu', 'びゅ', 'ビュ'),
        ('bye', 'びぇ', 'ビェ'),
        ('byo', 'びょ', 'ビョ'),
        ('pa', 'ぱ', 'パ'),
        ('pi', 'ぴ', 'ピ'),
        ('pu', 'ぷ', 'プ'),
        ('pe', 'ぺ', 'ペ'),
        ('po', 'ぽ', 'ポ'),
        ('pya', 'ぴゃ', 'ピャ'),
        ('pyi', 'ぴぃ', 'ピィ'),
        ('pyu', 'ぴゅ', 'ピュ'),
        ('pye', 'ぴぇ', 'ピェ'),
        ('pyo', 'ぴょ', 'ピョ'),
        ('ma', 'ま', 'マ'),
        ('mi', 'み', 'ミ'),
        ('mu', 'む', 'ム'),
        ('me', 'め', 'メ'),
        ('mo', 'も', 'モ'),
        ('mya', 'みゃ', 'ミャ'),
        ('myi', 'みぃ', 'ミィ'),
        ('myu', 'みゅ', 'ミュ'),
        ('mye', 'みぇ', 'ミェ'),
        ('myo', 'みょ', 'ミョ'),
        ('ya', 'や', 'ヤ'),
        ('yi', 'い', 'イ'),
        ('yu', 'ゆ', 'ユ'),
        ('ye', 'いぇ', 'イェ'),
        ('yo', 'よ', 'ヨ'),
        ('lya', 'ゃ', 'ャ'),
        ('lyi', 'ぃ', 'ィ'),
        ('lyu', 'ゅ', 'ュ'),
        ('lye', 'ぇ', 'ェ'),
        ('lyo', 'ょ', 'ョ'),
        ('xya', 'ゃ', 'ャ'),
        ('xyi', 'ぃ', 'ィ'),
        ('xyu', 'ゅ', 'ュ'),
        ('xye', 'ぇ', 'ェ'),
        ('xyo', 'ょ', 'ョ'),
        ('ra', 'ら', 'ラ'),
        ('ri', 'り', 'リ'),
        ('ru', 'る', 'ル'),
        ('re', 'れ', 'レ'),
        ('ro', 'ろ', 'ロ'),
        ('wa', 'わ', 'ワ'),
        ('wu', 'う', 'ウ'),
        ('wo', 'を', 'ヲ'),
        ('nn', 'ん', 'ン'),
        ('xn', 'ん', 'ン'),
        ("n'", 'ん', 'ン'),
        ('rya', 'りゃ', 'リャ'),
        ('ryi', 'りぃ', 'リィ'),
        ('ryu', 'りゅ', 'リュ'),
        ('rye', 'りぇ', 'リェ'),
        ('ryo', 'りょ', 'リョ'),
        ('wyi', 'ゐ', 'ヰ'),
        ('wye', 'ゑ', 'ヱ'),
        ('lwa', 'ゎ', 'ヮ')
    )

    wi_we = (
        (('wi', 'うぃ', 'ウィ'), ('we', 'うぇ', 'ウェ')),
        (('wi', 'ゐ', 'ヰ'), ('we', 'ゑ', 'ヱ'))
    )

    xk_lk = (
        (('lka', None, 'ヵ'), ('xka', None, 'ヵ'),
            ('lke', None, 'ヶ'), ('xke', None, 'ヶ')),
        (('lka', 'ヵ', 'ヵ'), ('xka', 'ヵ', 'ヵ'),
            ('lke', 'ヶ', 'ヶ'), ('xke', 'ヶ', 'ヶ')),
        (('lka', 'ゕ', 'ヵ'), ('xka', 'ゕ', 'ヵ'),
            ('lke', 'ゖ', 'ヶ'), ('xke', 'ゖ', 'ヶ'))
    )

    v_vy = (
        (
            ('va', None, 'ヴァ'),
            ('vi', None, 'ヴィ'),
            ('vu', None, 'ヴ'),
            ('ve', None, 'ヴェ'),
            ('vo', None, 'ヴォ'),
            ('vya', None, 'ヴャ'),
            ('vyi', None, 'ヴィ'),
            ('vyu', None, 'ヴュ'),
            ('vye', None, 'ヴェ'),
            ('vyo', None, 'ヴョ')
        ),
        (
            ('va', 'ヴぁ', 'ヴァ'),
            ('vi', 'ヴぃ', 'ヴィ'),
            ('vu', 'ヴ', 'ヴ'),
            ('ve', 'ヴぇ', 'ヴェ'),
            ('vo', 'ヴぉ', 'ヴォ'),
            ('vya', 'ヴゃ', 'ヴャ'),
            ('vyi', 'ヴぃ', 'ヴィ'),
            ('vyu', 'ヴゅ', 'ヴュ'),
            ('vye', 'ヴぇ', 'ヴェ'),
            ('vyo', 'ヴょ', 'ヴョ')
        ),
        (
            ('va', 'ゔぁ', 'ヴァ'),
            ('vi', 'ゔぃ', 'ヴィ'),
            ('vu', 'ゔ', 'ヴ'),
            ('ve', 'ゔぇ', 'ヴェ'),
            ('vo', 'ゔぉ', 'ヴォ'),
            ('vya', 'ゔゃ', 'ヴャ'),
            ('vyi', 'ゔぃ', 'ヴィ'),
            ('vyu', 'ゔゅ', 'ヴュ'),
            ('vye', 'ゔぇ', 'ヴェ'),
            ('vyo', 'ゔょ', 'ヴョ')
        )
    )

    n_single = ((), (('n', 'ん', 'ン'),))

    @classmethod
    def _tableList(cls, old_w, n_single, type_xk_lk, type_v_vy):
        return [
            cls.common,
            cls.wi_we[old_w],
            cls.xk_lk[type_xk_lk.value],
            cls.v_vy[type_v_vy.value],
            cls.n_single[n_single]
        ]

    def __new__(cls, old_w = False, n_single = False,
            type_xk_lk = SpecialHiraType.Kata,
            type_v_vy = SpecialHiraType.Kata):
        for table in cls._tableList(old_w, n_single, type_xk_lk, type_v_vy):
            for item in table:
                yield item

補足

引数について

  • old_w: True にすると wi が ゐ/ヰ, we が ゑ/ヱ になるぞ

  • n_single: True にすると ('n', 'ん', 'ン') が加わるぞ

  • type_xk_lk: ひらがなでの lk, xk のタイプ(下記)

  • type_v_vy: ひらがなでの v, vy のタイプ(下記)

タイプ

  • SpecialHiraType.Ignore: None にするぞ(例 'lka' -> None)

  • SpecialHiraType.Kata: カタカナにするぞ(例 'lka' -> 'ヵ')

  • SpecialHiraType.Special: 特殊文字をつかうぞ(例 'lka' -> 'ゕ')

ToDo

あとはこれをごにょごにょすればローマ字文字列をかなに変換する関数が書ける気がする.

なんとかするところ

  • n + 子音の時の処理

  • 末尾の n

  • 'tta' -> 'った' みたいな促音の入力

プログラミング習得における一番の困難はプログラミングを始めることである(古代ギリシアの諺)

プログラミングを初めてみようかなと思ったはいいが,コンパイラだの環境変数だのエディタだの IDE だのなんだの,いわゆる開発環境の構築で挫折する人は少なくないと思う.私もそうだった.

ということで突然だけど始めるのが簡単なプログラミング言語をいくつか紹介してみようと思う.ただし Windows を想定している.Windows 以外の OS 使っててプログラミングできないなんてことはないと思う.

VBA

もし Microsoft Excel を持っているのなら,Excel 附属の VBA (Visual Basic for Applications) というプログラミング言語が一番初めやすい.

Excel を立ち上げて Alt + f11 を押せば開発環境の構築は終了である.エディタもいらない.あとは標準モジュールを挿入してコードを書けば実行できる.詳しくは vba とかで検索すれば死ぬほど情報が出てくるのでここには書かないが,おそらく始めるまで 5 分もいらない.

他のプログラミング言語を勉強しようとして挫折した人は是非挑戦して欲しい.入門サイトもたくさんあるので情報には困らないと思うが,書籍もたくさん出ているようだ.

実際は Word, PowerPoint, Outlook, Access など他の Office 製品にも VBA は搭載されているのだが,日本語の情報が少ないので Excel が一番始めやすいと思う.

Python(パイソン)

Windows でもインストールが簡単.python.jpの左下のダウンロードと書かれたリンクから進んで,32 ビット PC なら "Windows x86 executable installer", 64 ビット PC なら "Windows x86-64 executable installer" をダウンロードして実行すればよい.

また標準で IDLE という簡単なエディタがついてくる.IDLE から書いたコードをすぐ実行することもできる.Python には "Battery Included" の思想があり,最初からこのような簡易エディタや幅広い標準ライブラリが附属している.

言語自体も簡単かつ強力で,Python をマスターしておけばとりあえず何にでも対応できる.あの Google でも使われている.インデントでブロックを表すのが特徴的で,プログラムが非常にすっきりとした見た目になる.逆にこれが嫌いな人もいるんだけど,個人的にはコードが読みやすくて結構好み.

気をつけなければならないのがバージョンである.現在主流なのはバージョン 3 系だが,ネット上にはいまだに古い 2 系の情報も多い.2 系と 3 系の簡単な見分け方を教えておこう.print "hello" というプログラムが動けば 2 系,エラーが出れば 3 系である(3 系では print ("Hello") と括弧が必要).2 系は早く絶滅してくれ.

また,やや日本語情報が少ないかもしれない.それでも検索すれば入門サイトはそこそこ見つかるので情報は集まると思う.書籍を購入する際には,やはりバージョンに注意.2 系にしか対応していない書籍を誤って購入してしまうと,きっと悲しい気持ちになる.

今は 3 系対応の入門書もたくさんあるみたいなので,迷ったら書店で実際に見てみたり,"python 入門書" とかで検索して調べてみるのもよい.

Haskellハスケル

これは嘘.確かに Haskell Platform というものがあって Windows でも簡単にインストールできるのだが,Haskell は如何せん言語自体が難しい.でも好きな言語だから紹介したかった.

みんな Haskell しようよ〜.おすすめ書籍はこれ.

すごいHaskellたのしく学ぼう!

この本の内容を完全に理解すれば Haskell の 8 割は理解できたことになる.でも残りの 2 割を理解しようと思ったら,仏門に入る必要がある.

まとめ

以上たった3つだったけど,要するに Python がおすすめ.ちょっと難しい言語やってみたいって人は是非 Haskell を試してみて欲しい.いろいろ試したけどだめだ〜って人は VBA から入るのがよい.

Python に(立場が)似ている言語として ruby というものもある.ほとんど使ったことないからよくわからないけど,日本人が開発した言語ということで日本語情報が多いので,もしかしたらこれも始めやすいかも.しらんけど.Python がだめだったらトライしてみるとよい.

おすすめしない言語とか

以下の言語は (Windows だと) 始めるのが難しい気がするのでおすすめしない.

C/C++:ゴミ

C#:そこまで悪くない

Java:あなたとJAVA, 今すぐダウンロード

JavaScript:うんちのげんご

PHP:便器ブラシ

Perl:よくしらん

OCamlWindows ではたいへんらしい

Lisp:情報が少ない

Fortran:学ぶ意味がない

BASIC:なめとんか?

CLISP のインストール (Windows)

Common Lisp の処理系のひとつである CLISP をインストールする方法についてのメモ (Windows).

インストール

  1. http://clisp.org/ へ行く.

  2. Get CLISP と書いてあるところの下の方に win32 というリンクがあるので,そこをクリックする.

  3. しばらくすると clisp-云々.exe みたいなのがダウンロードされるので,適当なところに保存して実行する(このファイルはインストール終了後に削除してよい).

  4. Setup Wizard が起動するので,Next とか I Agree とか Install とかを押していけばインストールされる(インストールする項目などをカスタマイズできるが,とりあえずそのままでよい).Completed と表示されたら Close で閉じてよい.

CLISP (の REPL) の起動

インストールされたことを確認するために,CLISP(の REPL*1)を起動してみる.とくにカスタマイズせずインストールしていれば,デスクトップに GNU CLISP のアイコンができているはずなので,そこから起動できる.起動すると次のような表示が出る.

  i i i i i i i       ooooo    o        ooooooo   ooooo   ooooo
  I I I I I I I      8     8   8           8     8     o  8    8
  I  \ `+' /  I      8         8           8     8        8    8
   \  `-+-'  /       8         8           8      ooooo   8oooo
    `-__|__-'        8         8           8           8  8
        |            8     o   8           8     o     8  8
  ------+------       ooooo    8oooooo  ooo8ooo   ooooo   8

Welcome to GNU CLISP 2.49 (2010-07-07) <http://clisp.cons.org/>

Copyright (c) Bruno Haible, Michael Stoll 1992, 1993
Copyright (c) Bruno Haible, Marcus Daniels 1994-1997
Copyright (c) Bruno Haible, Pierpaolo Bernardi, Sam Steingold 1998
Copyright (c) Bruno Haible, Sam Steingold 1999-2000
Copyright (c) Sam Steingold, Bruno Haible 2001-2010

Type :h and hit Enter for context help.

[1]>

試しに [1]> の後に (+ 1 2) と入力してみよう(入力のあとは常にエンターキーを押す必要がある).

[1]> (+ 1 2)
3

CLISP を終了するには (quit) と入力する(もしくは,よくわからなくなったら×ボタンで閉じることもできる).

[2]> (quit)

コマンドプロンプトからの REPL の起動

コマンドプロンプトからも REPL は起動できる.

まずコマンドプロンプトを立ち上げる.これには幾つか方法があるが簡単なものをいくつか示す.

  • Windows 10 であれば,左下の Cortana(何でも聞いてください)に「コマンドプロンプト」と入力すれば候補に出てくる.

  • windows キー(キーボード左下の windows マークの描いてあるキー)を押しながら R キーを押して「ファイル名を指定して実行」を立ち上げ,cmd と入力して OK を押すことでもコマンドプロンプトを起動できる.

  • デスクトップや適当なフォルダ内で,Shift キーを押しながらマウスの右クリックすると「コマンド ウィンドウをここで開く(W)」というのがあるので,そこからコマンドプロンプトを起動できる.

コマンド プロンプトが立ち上がったら,そこに CLISP と入力(してエンター)することで CLISP(の REPL)が起動できる.あとは同様.

※ コマンド プロンプトから REPL を起動した場合,(quit) で REPL は終了するがコマンド プロンプト自体は終了しない. コマンド プロンプトを終了するにはそのあとに exit と入力する.

アンインストール

もし CLISP が不要になった場合は次の方法でアンインストール(削除)できる.

「コントロールパネル」 -> 「プログラムのアンインストール」 から GNU CLISP を見つけてアンインストールする.

*1:read-eval-print-loop; 対話型評価環境